遮音性能に優れた音楽マンション【MUSISION:ミュージション】
MUSISION:MUSIC+MANSION
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Vol.02 集合住宅の防音の話
永田音響設計 小野 朗
ある住宅雑誌社の人から電話があった。
「ミュージション川越を設計された手塚先生からご紹介をいただいたのですが…、集合住宅の手軽な防音改善対策という特集を組みたいのですが、手軽に防音性能を上げる方法をいくつか教えていただけませんか?」
「手軽に、ですか?」
「はい。」
「そうですねえ…、開いている窓を閉めるとか、お隣との壁に穴が開いていたら塞ぐとか、障子で仕切られているのなら木戸にするとか…。」
「あの、江戸時代の長屋じゃないんですから。鉄骨造やコンクリート造のアパートやマンションなんかですね…、何か良くする方法はないですか?」
「それなら、床を置き床にして床仕上げ材の下に遮音シートかボードを敷き込みます。お隣との壁の手前で置き床の上に間柱を450mmピッチに建てまして、その柱の間にグラスウールを詰め、その上から石膏ボードを3枚貼ります。隙間はマメにシールします。天井は、スラブから防振吊りで……。」
「それのどこが手軽なんですかっ。それって工事じゃないですか。そうじゃなくって、住んでいる人が自分でできるようなことで、例えばカーテンを吊るすとかタペストリーを掛けるとかカーペットを敷くとか、あるいは隣との壁の前に本棚のような家具を置くとか、そのような誰でもできそうな方法がいいんですが…。」
「今言われた事をまとめるといいんじゃないですか?」
「効果ありますか?」
「ありません。」
「それでは意味がないです。ならば、音を出す立場で隣の住人になるべく迷惑にならないで音を出せる方法というのは、どうです?」
「それなら、建物の構造体、たとえばコンクリートなどの構造体と音の[縁を切る]ことですね。」
「縁を切る、ですか。冷たい言い方ですね。」
「コンクリートに義理立てする必要はありません。コンクリートは冷たい奴ですから、しかも一度音が入るとどこまでも伝えてしまう、おしゃべりな奴なんです。」
「冷たいコンクリートとどうやって縁を切ったらいいんですか?」
「直に接しないようにするんです。例えば音源となるスピーカを床に直に置かないとか、ピアノのように床に直に載る楽器の場合には、足に防振ゴムのような台を履かせるなども効果がありますね。扉の開閉音やカーテンの開け閉めなども発生側が思っている以上に隣や上下のお宅に伝わっていたりします。これはコンクリートなどの構造体に直に発生音が伝わってしまっているからです。」
「結局、それは部屋の防音性能を上げることにはならないですね。」
「コンクリートなどの構造体に直に音を伝えてしまうことで、建物の防音性能の割に音を伝えやすくしています。それをカバーするだけですから、良くすることにはなりませんね。」
「今回の特集の答えにはならないのですが…。」
「住んでいる方が簡単に性能を上げられるなら、防音マンションなんて作らないでしょうね。」
と言う訳で、特集は編集者の独自の提案によりお茶を濁す結果となった。
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